スコアアタックという宇宙:「草を刈る機械」について

草を刈る機械にハマッている。
http://gobori.ehoh.net/flash/kusakari/

このゲームについて、ツイッターでは少々字数が足りないのでこちらに書くことにした。

<前文>

さて、まずは気をはらずに、前情報なしでプレイしてほしい。
どうだろう。最初の120秒、初回の君は、ただ闇雲に走り回る暴走機械だ。
6000点か?8000点か?小学生の時おばあちゃんから貰ったお札ばかり多くみえて、実質マスター諭吉1枚に負ける千円札ばかりのお年玉でも思い出したか?
君は叫ぶかもしれない「俺が悪いんじゃない!そもそもなんでヨーに慣性(ドリフト様)がつくんじゃ!」
もっともだ。
だがそれは機械のせいではない。
君が自身の手をまだ御しきれていないところから来る言い訳・戯言にすぎない。じっくりうまくなっていけばいい。
まずは最初のプレイで君はこの慣性に慣れる必要があると直感するだろう。
また、同時にリンゴについても思いを馳せることになる。
かつて、ニュートンという学者はリンゴを凝視することでその理論を導いてきたと言われる。
この林檎は君が凝視すべき知恵の実だ。
その知恵の実を食べたことからアダムとイブは楽園を追放された。曰くつきのリンゴだ。食っていいのだろうか?
そしてまさに今、君はこの知恵の実を齧りその効用を知ってしまった時、無作為に暴れまわっているだけで楽しめた楽園から追放されることになる……。

<二つのスコアアタックゲームの可能性(あるいは読み飛ばせるところ)>

スコアアタックゲームには大きく二つの種類があると考える。またこれらはどちらも適用することができる。
aリソース制限内で競うもの
bゲーム内でランダム因子によるプレイヤーの破滅確率がインフレしていくもの

また
更にゲームでスコアアタックを行う為に(プレイヤーの腕前差異を出す為に)二つの方法がある。こちらはもっとあるかもしれないが、僕はこう考える。
cリスクをプレイヤーが管理し、そのリスクに応じたリターンを与えるもの
d精確な操作に対してスコアリングするもの

このゲームは実はクイックス(大きく囲う事がスコアに繋がるゲーム)のような見た目の印象から
なんとなく一撃で大量得点を獲得する後者のタイプのゲームに思えるだろう。
古典でいえば「SAMEGAME」等から、多くそういう構造で緊張を保つことが多い。
ハイリターンを獲得する為にはハイリスクの必要があるという趣旨のゲームだ。
パズルに限らず多くのスコアアタックゲームのほとんどはこれに分類されることが多い。
リスクを「どこまで取るか」はプレイヤーに委ねられるし、または、「どのリスクまで許容できるか」それこそがプレイヤースキルになるからだ。
また、最近でいえばc,dどちらも組み合わせたものが多くカジュアルに遊ばれている。
たとえばツムツム、スコアリングではないがパズドラ等もこれらの間の子であるといえる。

このゲームの場合は範囲の基準点は同じなので同じ範囲を刈り続けるかぎり一切差異は生まれない。
そこでプレイヤースキルで生み出される得点要素として以下が用意されている。
・100範囲の囲いによりリンゴが出現する
・リンゴは取得するまで永遠に残り、一つにつき10%のスコアアップ効果と基礎点100(この点もスコアアップの対象)がある。
草刈り範囲の点数以外にこのゲームで唯一のボーナスがつく「リンゴ」という得点オプションは非常に強大だ。
つまり、最終回答といってもよいが極端にいえば「100の範囲を取り続けるゲーム」となる。リンゴをひたすら生む仕事が君に課せられている。
a(時間というリソース)に対してd(精確に100を取り続けるゲーム)だ。
たとえば同じa,dの組み合わせのゲームで近いものでは僕はスターパロジャーのBATTLE MODEを挙げる。
これは二分間・もしくは五分間でどれだけのスコアを取るかを競うだけのモードで、敵の出現パターンは確定されているのでスコアのパターンも確定されている。精確さだけを競うモードだ。
このようなモードは面白いのだがランダム性がない=精確を一定極めると同じ結果しか出ないので、最適解が出されてしまうとゲームの賞味期限がきてしまい現代にほとんど残っていない。と思っている。

また「時間」という部分は言い変えれば、
最大の点数が入るコンボを入れ続ける格闘ゲームのソロプレイによるスコアアタック(こちらは自分のHPや敵のHP…全て倒すと終了なのでほぼここでいう時間と同じ意味で天井のあるリソースだ…)や多くのシューティングゲーム(多くのシューティングゲームはリニア(一方通行)なので自然とゲームの上限は決まってくる。こちらは作例が多く、いろいろな研究がされているので例えばcが混ざったりするシステムもある)等、かなり多くのスコアが表示されるゲームが枠内に入るので分類の意味は少ないかもしれない。
たいていのゲームが時間による天井が決められているのは、アーケードゲーム史に頼ってもいいし、プレイに集中できる一ゲームの限界と思ってもいい。
どちらかというと大抵のアクションゲームのスコアアタックは短距離走だ。一瞬の集中をどれだけ持続させれるか、それもまたプレイヤーのスキルでありそこを試すのは当然だからだ。
なので時間の制限は当然といえる。
ま、とはいえ、気持ち分類はしておきたかったので許してほしい。

<さて、いざ宇宙へ>

このゲームは

(時間というリソース)に対して(精確に100を取り続けるゲーム)だ。

と書いた。

では本当にそうなのか?ここからがこのゲームが本当に味わい深いところだ。
そうではないのだ。
精確に100を「最短距離で」取り続ければ高得点なのだが、この最短距離はゲームの状況で大きく変わる。
なぜなら、「既に狩り終わってから生えかけている芝生」も「円作成の軌跡の対象」となっている。
つまり一度円を書けば、次はその刈り取った円の跡と繋ぐことで円までの距離が縮まるのだ。
つまり8の字(できれば∞の真ん中の接点を増やす形)が一番効率が良いこととなる。
しかし、おそらく作者によって巧妙に仕込まれた設計として、芝生が生い茂るまでにディレイがある。問題はそのディレイだ。
このディレイにより最短距離で狩ったあと、つまり8の字を作ったあとにもういちど最初の円側に戻ると、実にいやらしく、まだ生い茂っていない状態で待っている。
つまり∞の円環では最初の二つしか最短効率にならないのだ。
なので、(精確に100を取り続けるゲーム)と書いたが、実はその「精確」は円の形そしてタイミングによって左右される。

また、それだけに留まらない。
・100を作った時、(おそらく)その円の”中心”となる部分でリンゴが生まれる。
つまり、真円を書いているだけでは永遠にリンゴは得られないのだ。
前文で書いたとおり、楽園(精確な真円・完全な均衡)をはみ出ることでしかリンゴは得られない。
このリンゴの取得もポイントとなっている。
永遠にリンゴは残るのでいつとっても良いのだ。逆にいえば、最短距離の円でリンゴを増やし続けて一気に取得してもいい。
または円軌道の最中にそのコースを組み込むことも可能だろう。
なまじ10%の為にはみ出てそれまでの均衡(既に君はこの草刈り機で円を書くことだけなら容易いだろう……)を崩すよりは、どこかのタイミングで、やはりこれも最短距離で取りに行きたいというジレンマが発生する。悪魔のささやきだ。
悪魔の甘言「君、君、そうやっていつまで同じところを走るつもりだい。ここに1周を1.1周にする秘密があるよ……」
この囁き、ジレンマをリアルタイムで与えつつ、だが人間の腕には迷いより早い精確さを求め続ける。
リンゴを取りながら円を書く選択肢も存在する。その軌跡を頭にシミュレートし、そのように手を動かし、更に次の円の予想も行う。
そろそろわかっていただけただろうか。リスクとリターンだ。
おそらくこの円軌道とリンゴの取得の判断のギリギリのラインはほとんど経験則の世界になるのだろう。
直観・計算・そしてが「出来る」と思えばいけばいいし、行かなくてもいい。
単純な計算でいえば、一周遅れることで点数はたった100×倍率分しか変わらない。円を一度崩してしまうとそのリカバリにもっと頭を使うことになる。
そっちの方がもっと重大なのだ。
とはいえ、いずれは取らなくてはいけない。そのいずれかは今よりもリスクの高い操作になるかもしれない。
独特の操作感から、その操作感の会得という操作技術のゲームのようでいて実に深い、精神力を試されるゲームなのだ。

<緑の果て>
そう、このゲームのテーマ……楽園、知恵の実、そして全自動芝刈り機。
一見、無限の円環と永遠の芝生に楽園があるように思う。だがそこに甘んじずに、今、芝刈り機である貴方は悪魔の誘いではなく自らのタイミングで知恵の実を選択しようとしているのだ。
楽園は己で作れ。

最後に、自分のプレイを載せて終わりにしたいと思う。
私のレベルではこの程度だ。迷い、時には壁にぶちあたりそうになる。
リンゴはあわや腐るかというところまで放置されている。これは私が楽園の居心地を棄てられないからに違いない。
甘んじている人間に未来はない。挑戦せよ。だが楽園の外に作る己の道、ゴールは果てしなく遠い。

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